「麹で、ビールの未来をひらく」渋沢MIXから始まったCOEDOの新たな挑戦!

2026年8月26日。さいたま市大宮区のイノベーション創出拠点「渋沢MIX」においてCOEDO(コエドブルワリー)の新プロジェクト「麴で、ビールの未来をひらく。」の発表会と試飲会が開催された。株式会社協同商事が展開するクラフトビールブランドCOEDOと麹菌をはじめとする醸造技術を手掛ける株式会社ビオック。両社が取り組む今回のプロジェクトは古来から日本の食文化を支えてきた「麹(KOJI)」をビール醸造に応用し、新たな製造方法と国産大麦の可能性を探るものだ。その発想は温故知新そのものである。

会場では株式会社協同商事・朝霧重治代表取締役と、株式会社ビオック・村井三左衛門代表取締役が登壇。プロジェクトに込めた思いや、その背景についてそれぞれ熱く語った。発表後にはテストバッチ(試作品)も披露され、参加者が実際に新しいビールの可能性に触れる試飲会も和やかに行われた。

今回のプロジェクトは、発表会当日の8月26日午前10時から、応援購入サービス「Makuake」でクラウドファンディングをスタートしていた。会場のスクリーンには、プロジェクトの説明とともに支援状況が表示されていた。発表会が行われている最中にも、支援の数字はリアルタイムで増え続けていた。金額が刻々と伸びていく様子は、会場に集まった関係者にとっても圧巻の光景。気分はまるで歴史の目撃者であった。開始からわずか1時間で100名を超える支援者が集まるなど、反響は予想を上回るものとなっていった。さらに勢いは発表会だけにとどまらず、プロジェクト公開後も多くの共感を集め、9月に入った時点ではとっくに目標金額を超えていた。新しい挑戦に多くの人が期待を寄せた結果ともいえる。なお、目標金額達成後も、2027年1月12日の締め切りまでは引き続き応援購入が可能となっている。

実は朝霧氏には、弊社執筆『川越市市制施行100周年記念・川越百彩』にもご登場いただいている。COEDOビールをはじめ、協同商事が手掛ける事業について語る中で、朝霧氏が強調していたのが「農業」と「循環」という考え方だった。協同商事は、有機栽培や減農薬栽培への取り組みを1970年代から続け、農産物の生産だけでなく、加工、販売、物流、ビール製造、さらには廃棄物リサイクルまでを「農業から始まる一つの循環」として捉えてきた。当時朝霧氏は耕作放棄地や後継者不足といった農業の課題にも触れながら、持続可能な農業のあり方についてのビジョンを語っていた。そして、先に見据えていた風景の一つが、麦畑が黄金色に染まる「麦秋」だった。語られていた未来は、現在進行形のプロジェクトへと確実に続いている。今回発表された「麹で、ビールの未来をひらく。」プロジェクトはまさにその延長線上にある。インタビューで朝霧氏が語っていた「これからの10年は社会に役立つことに取り組みたい」という思いは、形を変えながら、今回のプロジェクトへとしっかりと繋がった。以前に『川越百彩』でも語られてきた未来が渋沢MIXという新しいイノベーション拠点を舞台に、具体的なプロジェクトとして動き始めたわけである。イノベーションとは技術革新、それでしかないわけではなく、新しい価値を生み出す、そのものが朝霧スタイルと感じた。

「麹を使ったビール」自体は数年前に日本で生まれてはいた。今回のプロジェクトでもビールの製法に、従来の「麦芽(モルト)」ではなく、日本古来の発酵技術である「麹(KOJI)」を取り入れている。しかし、世界展開できるレベルの工業規格・ライセンスビジネスとして確立させたのは、今回のCOEDOとビオックのプロジェクトが「世界初」である。単なる新商品の開発ではなく、一杯のビールから始まる、「新しい仕組みづくりへの挑戦」でもあるのだ。

朝霧氏の座右の銘の一つ「すべての経験は無駄にならない」。言葉通り、朝霧氏はビールづくりでもすべての条件を無駄なく信念へと変え、新たな商品へ。長年にわたる農業への取り組み、COEDOビールづくり、そして社会や地域への思い。一つ一つの積み重ねが朝霧氏の新たな挑戦を後押しする。埼玉から始まったプロジェクトがこれからどのような未来をひらいていくのか、まだ幕は開けたばかり。世界から注目を集める朝霧社長の未来から目が離せない。

写真向かって左から株式会社ビオック・村井三左衛門代表取締役、株式会社協同商事朝霧重治代表取締役。

文責 葉桜こい