日本人の矜持

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関東をおそった豪雨、阿蘇山の噴火。朝方の首都圏での大きな地震。自然の脅威はおそるべしだ。大阪の事件が起こった町での市長の不倫騒動、問責決議が可決された。同じ大阪で警察署の当直長が同じ署内の女性警察官と捜査車両を使用し、デート。当直勤務時間中に。しかもあのいたましい少年少女が事件に巻き込まれ大阪府警一丸となって捜査中の時期に。なんとまあ!とあきれていた矢先の埼玉県警巡査部長が殺人容疑で逮捕された。

埼玉県警は凶悪犯罪の解決率が全国で一位という、捜査能力が高く、誇り高い組織だ。警察本部と39の警察署が県民の安全安心を守っている。警察官の数は12000人。その数は人口に対して全国で一番少なく日夜私を捨てて県民のために尽くす警察官集団だが、今回の事件、一人の使命感のかけらもない、言語道断の犯罪を犯した警察官のために真面目に取り組む警察官の信用を一気になくしてしまった。事故防止のための取り締まり、犯罪抑止、犯罪防止のための市民協力に、大きな影響がでることは明らかだ。

「教育」に問題が、「組織」に問題が、などとさまざまな角度からコメントが寄せられている。男性代議士が「男性」を買うと言った事件も公けにされ、その代議士は未公開株をカタり金を集めていたが、まだバッジをはずさない。前出の市長も「問責決議」可決されてもバッジをはずさない。関東豪雨の茨城県と常総市の情報共有不足。やはり「教育」「組織」のせいなのか?

日本人は「武士道」があり、「明治近代化を遂げた智恵」があり、「戦後復興」し、生き抜いてきた。豊かな人間性を育む土壌と類まれなる「使命感」を培う空気があったはずだ。信用を築くことに先人、先輩達の血のにじむ努力があったことを思えば、自分のゆく道はおのずとわかるはずだが・・・信用は並々ならぬ時間と精神的エネルギーの集積によってうまれる、しかし、崩れ去るときはあっけなく、簡単に失う。本当にあっけなく。

誇り高き職業人、信用される組織。これはすべての日本人に今求められいることかもしれない。マスメデイアの報道過熱、一気に終息といった姿勢に迎合することなく、「日本人の矜持」について再考したいものだ。

伊勢谷珠子