池波レシピ 江戸の味が小江戸で再現 料亭福登美

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池波正太郎というと鬼平犯科帳が思い浮かぶ。東北道上り、羽生PAでは鬼平の香りを体感でき、多くの人で混雑を極める。池波正太郎文学は粋な男を具現化しているのも特長の一つ。

30年以上前、粋な男を追求する人に出会い、まずは池波正太郎が愛した店を食べ歩いていると聞いた。友人と数件行ってみたが、街角のひっそりしたお店に極上の味があり、池波さんってすごいなと思ったものだ。

今回川越の料亭福登美で「五鉄の会」が開催された。川越の夜の文化を粋に彩る男性たちが立ち上げたもの。「五鉄」は鬼平犯科帳に登場する軍鶏鍋屋。そこの主人が軍鶏鍋の具材をもって歩くシーンはおなじみでもある。当日は五鉄の主人 大映出身の映画スター藤巻潤さんも参加。寒い日なのに素足で着流し、鬼平ドラマを再現する、プロ根性を見せた。藤巻さんも粋だし、五鉄の会で料理を再現するのも粋だ。

江戸食文化が次々とテーブルにならぶ。福登美調理場の工夫と苦労の味でもある。吉原の花魁が泊まった旦那に翌朝、出したといわれる浦里(花魁の名にちなんで)、からタレが命の奴、もちろん油のフタができる軍鶏鍋は絶品で池波さんの言い回し、「ちょいと、その、うまいものなのである」が聞こえた気がした。

隣にいた女性が嬌声をあげたのが「トマトおでん」。日本酒にもワインにも合いそうな一品だ。

川越では「五鉄の会」をやらないと新年をむかえられないという文化にしたいという声もきこえ、着物で軍鶏鍋を囲む小江戸の師走の風物詩、となる日も遠くない。

写真は軍鶏鍋、左下が浦里。