林真理子氏 紫綬褒章に想う 9日まで読書週間

秋の褒章・叙勲が発表された。お世話になった方が叙勲対象者として、新聞に載るのはうれしい。

ずっと一種のバイブルとしてかたわらにおいてきた林真理子さんの作品。元気づけられたり、慰められたり。大きな笑い声をだして手術後、傷口が痛んでしまったことも。とにかく新作は初版で購入してきた。その林真理子さんが紫綬褒章を受章された。NHK大河ドラマの西郷どんの原作者でもある林真理子さんが女流作家としてトップランナーであり続けた平成の時代。その時代をしめくくるにふさわしい受章であったと1ファンとして拍手を送りたい。

9日まで読書週間。「国家の品格」の著者で知られる藤原正彦氏は「賢者の風格は読書にあり」と題し、「政治家、官僚、経済人に大局観が欠けているのは読書をしないから、つまり教養がない」と話した。「ウチの先生は本を読まないから」という国会議員の秘書がうそぶいていたことを思い出す。ある市長の公用車に、いろんなジャンルの本が積み上げられており、その市長はスピーチの名手であったことも思い出す。やはり読書は知識を紡ぎだしてくれる。

大阪桐蔭で中日など複数球団にドラフト1位指名をうけた根尾昂選手。両親ともに医者の家庭ということはしられているが毎月20冊の本を父から贈呈されているという。根尾選手の胆力、精神力も読書から生み出されているのかもしれない。人格の形成も「読書から」なのだ。

読書はいろんな世界に連れていってくれるし、想像力、創造力を養ってくれる。さあ今日の本はどんなストーリーか??本を読もう!

 




入間出身の滝口悠生 「死んでいない者」を読む

芥川賞受賞の「死んでいない者」を読んだ。ミーハー的だが、芥川賞直木賞は必ず読むようにしている。作者の滝口悠生氏は入間市出身。受賞直後の記事には「埼玉県西部地区には馴染みの風景が」という言葉が踊っており、興味をひいた。

通夜の晩を舞台にまさに「死んでいない者」の物語だった。登場人物も親戚多数。メモ用紙も必要なくらいの展開で、丁寧な組み立ての作品であった。もちろん、舞台が東上線沿線の埼玉県西部。地元住民としては、あの場所かこの場所かと思いを巡らせるだけでも楽しむことができた。

滝口氏、そして、直木賞受賞荻原浩氏ともに第59回埼玉文化賞を受賞した。また今回の秋の褒章では伊集院静氏が紫綬褒章を受章。デビュー作から新刊を買い揃え、読破してきたファンとしては我が事のようにうれしい。

活字離れが進むという悲しい報道のあるなか、読書の良さを今一度確認したいものだ。「どんなに疲れていても1日5ページ、寝る前に本を読むようにしている」という人生の達人に会って、多忙を理由に本を開いていない自分を恥じた。読書量は蓄積の財産。付け焼き刃でふやすことはできないし、書物に馴染んでる人の奥行きはそうでない人と比べるとボキャブラリーの差に如実に現れる。

さあ、本を読もう。