警察官の座標軸

市民と警察官の接点は多い。

一番接触するのが「地域部の警察官」。交番、パトカー、いわゆる制服を着ている警察官。道に迷えば交番にいき、落し物があれば交番に届けたり。川越市内の蔵造りのまちなみに警察官が滞在する場所が欲しいという地域住民の願いもあり、やはり「交番」という警察官がいる場所があるということは住民の安心安全につながる。

つづいて、運転免許を所持している人ならば「交通部の警察官」とも相対することも。白バイによびとめられたり、切符をきられたり、苦い思い出がある人もいるはずだ。(冷静になると、あのおまわりさんのおかげで、スピードの出しすぎによる大きな事故が防げたり、乗用車もバイクも、文明の利器である反面走る凶器でもある、安全運転をこころがけよう!と自己反省する)。また交通部は交通事故処理(人身事故を主に、物損事故は地域部警察官も行う)やひき逃げ犯人を捜査する。

この他生活安全部という部門。ここは名前通りに市民生活に密着している。住民相談の窓口、いわゆるストーカー被害、DV、迷惑行為に関するもの、少年犯罪捜査や公安委員会に許可をだす案件を担当。

それから警備部。これは災害警備、要人警護を中心に。

そしてテレビドラマや映画の舞台となる「刑事部」。所轄署であると傷害事件、強盗強姦、放火、殺人といった強行犯を扱うもの、知能犯、詐欺や選挙違反関係を扱うもの、盗難事件を扱うもの、暴力団などの反社会勢力に関係するもの。薬物銃器に関するもの、鑑識。六つにわかれている。また所轄刑事課は鉄道自殺などの遺体、自宅で亡くなった方の遺体の検視も担当する。最近では孤独死もふえ、どんな状況でも遺体に真正面から接し、荼毘にふすことができるよう尽力する。これは華やかな刑事ドラマからは想像もつかない、大変な作業の一つでもある。

警察本部には刑事部捜査第一課があり、セレクト1とも呼ばれ、選ばれしものたちという矜持を持っている。その花の捜査第一課の主任官として捜査員を陣頭指揮、多くの難事件を解決した一人でもある本庄署の相馬豊署長。かつてコレラ阻止に身を挺し、結果コレラによって着任三ヶ月で殉職した若い警官の墓の手入れを相馬署長はしており、その磨かれた墓石は本庄署の警察官の士気を高めているという。(殉職された新庄巡査は山口県出身。10月6日が命日)相馬署長は「警察官の原点は住民のためにつくすことにある。今こそ警察官の職業倫理、使命感を署員とともに考え、若くして殉職された先輩警官の崇高な遺志をつないでいきたい」と語っている。

世界に誇る安心安全な日本は強い警察力があってこそ。事件に強い埼玉県警。その一人一人の警察官を志望したその確固たる座標軸を信じて、日々の奮闘を期待していきたい。                 三潟 正義