甘利大臣の辞任 

先週から「政治とカネ」の問題で矢面にたっていた今夕28日、甘利明大臣が辞任した。

安倍総理は「職責を果たしてほしい」と国会壇上でも述べており、「またか」という思いが強かった。というのは何か問題が起きると「職責を果たすことが一番」という逃げ口上がまかりとおってきたからだ。こういう変な責任の取り方こそ、国民の政治離れを招いていたのではないか。

甘利大臣自身「アベノミクス」を推進する役割を担い、舌癌との闘病も克服し、国民からみればあるべきリーダーの姿を体現していた。その甘利大臣による「カネの疑惑」。甘利大臣の寄付金の処理は合法であるものの「アベノミクス」道半ば、地方までその効果が波及していない時期に「50万」「500万」という金銭感覚に庶民はそっぽを向く。参議院選挙目前、甘利大臣の去就は注目すべき事案だった。

甘利大臣が声をつまらせたとき、「私の政治家としての美学」といったとき、「辞任」という二文字を感じた。

政治家は「李下に冠を直さず」「瓜田にくつをいれず」。ひとたび「疑念」をもたれたら、潔い態度こそ、次への道が大きく拓けるものだ。地元事務所を任せた秘書の着服など、甘利大臣の監督責任もあるかもしれないが、この「辞任」によって、安倍政権の基盤が崩れることはないはず。

今後は「職責を果たすことこそが使命」などという陳腐なことを言う政治家が存在しないことを願う。

伊勢谷珠子