大横綱の死 北の湖理事長逝く

北の湖理事長が亡くなった。62歳の若さで。

勝負師でとても強く、その形容は「憎らしいほど強い」とも。当時祖父や祖母と相撲を観ていて「さすが横綱相撲は違う」という会話を聞かされてもいた。横綱北の湖と横綱輪島。若貴ブームを巻き起こした若花田と貴花田。時代はくだりモンゴル出身の横綱朝青龍。時代時代に大相撲にはスターが存在した。

縁あってかつて、大関時代の白鵬の相撲部屋を訪問する機会があり、その日本人的発想に関心したことがあった。伝統である国技。その国柄を尊ぶことから稽古に励んでいるとフランクに話してくれた。その白鵬、今場所は「猫だまし」「立会いの待った」など奇策と報道されていた。メデイアはその白鵬について「盤石の相撲」「完全勝利」という形容詞も使うが、ちょっと疑問だ。(このごろ形容詞の使い方が稚拙なメデイアを見聞きするにつけ、自分も勉強せねばといつも襟を正している。SNSの爆発的な普及で一億総ライター時代に突入したのだから当然か?)

白鵬の今場所の取り組みについて、個人的には祖父母が言っていた「横綱相撲」という言葉がリフレインされる中、北の湖理事長が「ありえない」とコメントを出したことに納得をした。

横綱は強くて当たり前。勝ったときの風情も大切。勝負を決めて、「どうだ!」という態度も品格がない。などと先輩は後輩に教えていく。

それはスポーツの世界でもビジネスの世界でも同じこと。トップにたつ人の人間力・品格というのは常に自己研鑽に心を砕いていないとできないものだ。有頂天の横綱に、厳しい教育を。そのことにも体をはっていた北の湖理事長は逝ってしまった。伝統の相撲を守るために盾となると北の湖理事長はよく口にされていたそうだが、次なる時代の立派な「盾」を熱望したい。そして北の湖理事長のご冥福をお祈りいたします。合掌。

三潟正義