防犯コンサルタント(元埼玉県警捜査一課)が検証が語る 川崎殺傷事件  

被疑者が自殺してしまった川崎登戸児童殺傷事件。

弊社 取締役 元埼玉県警捜査一課 岡部逸雄が考察します。

なぜ、自宅の最寄の駅から電車で移動し、登戸駅までいき、カリタス学園のバスを襲撃したのか?ここに動機が発生すると考えていたが、昨日より正式ではないものの同居のいとこ(男子)がカリタス学園に自分は公立学校に通学という事実が判明した。

カリタス学園は「裕福で教育熱心な家庭の子供たちが通うエリート校」として知られている。岩﨑隆一容疑者は学校時代の夢に「大金持ちになりたい」と記した。またこちらもメデイアインタビューに答えた近所の人の話だが、従兄弟は坊ちゃんがり、隆一容疑者は丸刈りという家庭内での格差があったという。(公立と私立の差があったかとも思われる)

両親離婚によっておじおばに引き取られた多感な少年期を過ごした隆一容疑者の心の闇を感じる。

格差・差別は心の闇をうみ、それが大きな衝動となっていく。

大阪池田小の宅間死刑囚関連本を読んだが、宅間死刑囚も世の中の不条理、差別に対しても猛烈な怒りをもって成長してきた。

また今回8050問題も取りざたされている。80歳代の親に対して50歳代の子供の世帯が増えてきている。子供の晩婚化、非婚化という社会現象。60歳代の親が30歳代の子供をみているうちはいいが、その後20年後の家庭の姿は危ぶまれる状態だ。もちろん子供世代が生活力があればよいが。しかもその現役子供世代が引きこもりがちだというのだ。

かつて、8050問題の典型的な家庭でおきた殺人事件の取調官をした。40代の被疑者は仕事をしていたが、衰えていく親から、過去受けた仕打ちなどを思い出し、日々殺意が募っていったという。

今回、8050問題があぶりだされ、該当する家庭に対して変な偏見がおきなければよいとも思う。しかし、親子夫婦であっても日々のうっ憤から殺意となって、いつそれが爆発するかわからない。それが人間でもある。

家庭で学校で「こころ」「メンタル」の教育も今求められているものではないか?

元埼玉県警捜査一課・防犯コンサルタント 岡部逸雄