魅せてくれた俳優座 いつもいつも平和を!

川越やまぶき会館に「俳優座」がやってきた。主催は真剣に平和を考えるNPO法人Peaceやまぶき。今回の事業は「川越市文化芸術によるまちづくり補助金事業」でもあった。

川越出身の山谷典子さんが脚本。深作欣二さん、加藤剛さん息子たちが関わる、演出深作健太、企画出演加藤頼、という演劇界の新しい風を予感させる舞台でもあり、幕があがる前より会場内は期待感でもりあがった。事前に配られたプログラムには川越市内の各界各層からのショートエッセイがつづられ「川越は文化の薫るまち」とあらためて感じさせられた。

川越のある一家をめぐる100年。時を刻む音が効果音となって物語は進んでいく。静と動。鮮やかな舞台展開。細部に演劇の神様が宿った。

日々平和な日本で暮らし、安穏と年月を重ねていると忘れてしまう、戦争の悲劇。満州で敗戦を迎え、ソ連兵に生きる道のため身を捧げた日本女性。60歳を超えた女性が若い娘に代わったなど。歴史をひもとくと恐怖に慄然する。戦争は人を狂気にし、何をうみだすことはない。人が人を殺す。人が人間としての尊厳を否定される。そのことが脳裏に去来し、舞台で織り成す人間模様を心に感じ、「風化させてはならないもの」「忘れてはならないもの」を再認識した。

電車の中で、道路で背中を丸めスマホに熱中。友達との交流ならまだしも、ゲームに興じる姿をみると、がっかり。テレビ番組はひな壇にタレントがズラリと並んでどうでもいいことで大口を開けて爆笑する。無為の時間からは何も生まれない。心から感動する。心から歴史を想う。心から考察する。基本であるが忘れがちなことを改めて実感させてくれた「いつもいつも君を憶ふ」。

平和のために今の私たちにできること。何も行動せずにボーゼンと日々を過ごすのではなく、人として、女性として、母として、姉妹として、娘として「できる何か」を「いつもいつも平和を」胸に生きていきたいのだ。




全国で注目 俳優座川越公演 舞台は川越 作家も川越出身 25日に 

今川越市民はソワソワしている。それというのも25日19時開演 俳優座「いつもいつも君を憶ふ」があるからだ。

作者は川越出身の山谷典子さん。舞台は川越。関東大震災から2020年東京オリンピックまでの100年間をある一家を通して描く。川越市民としては懐かしい出来事もちりばめられている。

また今回の舞台には川越市民も参加するという。さらに、出演・企画が俳優・加藤頼氏。名優加藤剛氏のご子息だ。12月19日放送の「徹子の部屋」に親子そろって出演した加藤頼氏は「日本の百年を家族を軸に描いています。目標であり憧れである父を目指してまじめに謙虚に演じていきたい」と意気込みを語っていた。そしてさらに演出は日本映画界のドン深作欣二監督のご子息深作健太氏だ。

演劇の世界でも世代交代の時、ある意味今回の作品は「俳優座」の歴史に残る作品かもしれない。

人工知能など最先端の技術が競われている今、文化の香り高い街づくりというのは、新鮮でもあり大切にしなければならない。川越市文化芸術によるまちづくり補助金事業の劇団俳優座2018年正月公演。チケットも若干数購入可能。お早目に。

問い合わせ先 NPO法人 Peace やまぶき 049-265-4631