林真由美弁護士大いに語る 若者等の職場定着支援とは

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坂戸市や坂戸商工会、坂戸法人会が主体となってこのほど坂戸市内で開業している林真由美弁護士を招き地方創生に関わる若者などの職場定着支援などをテーマに講演会を開催した。

林弁護士はわかりやすく、地方創生の根幹、若者などの職場定着の意義について多いに語った。

林弁護士講演要旨

若者職場定着支援とは地方創生の一つ。今日は地方創生とは?企業経営者に知ってもらいまた若者の雇用政策がどうして必要なのかを話していきたい。地方創生の根幹である地域活性化のキーワードとして「若者雇用と育成と継続」「雇用関係の助成金」がある。地方創生法は平成26年4月に制定された。それにともなう「まち・ひと・しごと創生法」は今年平成28年4月に施行される。すでに「地方創生総合戦略」が地域ごと各自治体で準備がすすめられ、まさに今年は地方創生元年。坂戸市においても総合戦略が具体的になる。国策としても地方の活性化と発展を重要課題として取り組むことになる。

現在、急速な少子高齢化が進み、地域が衰退するかどうか重大な岐路にたっている。人口は2008年をピークに減少に歯止めがかからない。平成26年出生率は過去最低の1・42パーセント。生まれた赤ちゃんは100万人。出生率は2・08パーセントで増加も減少もしないといわれているのでこの数字は大変なことだ。2060年には人口は4000万人となり、消費も経済力も低下する。人口減少は日本経済の重荷ともなる。勤労世代(20歳から64歳)を例にとると2010年に59パーセントだったものが2040年には50パーセントに落ち込む。

若者世代、支える世代の不足は超高齢化社会よりも厳しいものだ。また東京の出生率が悪い。結婚しない人が増える(未婚率の増加)晩婚化が進んでいることが理由の一つ。また一人っ子が多いということは出産率の低下でもある。さらに地方から東京に人口が流入する。若者が東京をめざし、地方は人口が減少し少子化が進み、東京では出生率が下がるという悪循環となる。東京一極集中しないようになんとかする、それが地方の活性化であり、地方創生だ。地方で若い世代が結婚し子育てをし、人口減少を食い止める。

まち・ひと・しごとについて。地方、地域社会の形成、まちを発展させる人材を地域に確保する。地域を担う人材の確保。地域で収入を得る、経済的安定性をつくる。就労の機会と雇用の継続。それらを重点的に政策を考えることが地方創生。地方創生や地域活性化についての明確な答えはない。しかし、試行錯誤の中から政策ができていくのではないか。元気な企業があるまちは元気なまちに。

では企業は?・地域活性化のために地域とのつながりを積極的にもつ。地域を活性化する視点をもつ。地方創生の意識をもつ優秀な人材を育てる。若者雇用を積極的に。若者雇用の重要性は、自分の企業の10年後、さらにそのあとの10年後を考え、発展させていく人材を確保するというもの。自分の代で会社をつぶしてダメ、もったいない。坂戸の地で培った企業の技術、ノウハウを次世代に引き継ぐ若者を雇用し、養成していく。若者の職場定着が地方創生の要であると思う。人間関係がよければ職場に定着する。モラハラセクハラ抑止、就業規則の見直しも大切。また職場の定着はスキルの向上、生産性もあがり企業の将来性もアップする。

では行政は?地方の特需性、個性に応じた柔軟な政策が必要。

今後は新人向けのセミナーの開催、成功した企業人、ケースの情報共有。若者の持つ悩みへカウンセリング。会社に経営カウンセラーや社会保険労務士を入れる。そしていろいろな視点から若者の雇用、雇用継続について考えていく。日々の仕事に追われるだけではなく、視野を広げていく。企業として地域における使命も考える。地域に密着するということは通勤時間の短縮へ、そして家庭サービスの充実につながる。

林弁護士は淡々と講演をこなされたが、「企業」としての存続のヒントがちりばめられたキーワードを発信し、参加者も熱心にメモをとる姿が印象的だった。

三潟 正義