川越初の市民栄誉賞受賞 田部井淳子さん逝く

女性として世界初、ヒマラヤ最高峰エベレスト登頂成功、世界七大陸最高峰制覇という強靭な精神と肉体の持ち主田部井淳子さんが77歳腹膜がんで亡くなった。

田部井さんは川越初の市民栄誉賞受賞者でもある。明るく元気に、生き生きと山の魅力を話し、また女性特有の繊細さも「山」に持ち込んだ人。飯能の天覧山もお気に入り。天覧山ハイキングから飯能河原での芋煮会は東北大震災で被害にあった福島の人を連れて。その風景を見ていた飯能市民は「世界の田部井さんなのに、気さくに笑顔で溶け込んでいた。ご本人も福島三春出身だから思い入れはひとしおだったようだ」と当時を振り返る。被災者を励ますイベントは延べ2000人近くの人が参加している。

「山ガール」の進出ももろ手で歓迎し、旧い体質にとらわれないところも田部井さんの魅力の一つだ。女性の進出というとどうも「男性に負けたくないカラー」「私こそは!」といったものが色濃くでてしまうタイプの女性が多い、しかし、田部井さんは妻、母の顔も大切にしながら、女性らしい生活の知恵や、人との和を尊重したバランス感覚の人でもあった。

乳がんから抗がん剤投与しながらの日常、発症前と変わらない生活、さすが「精神力の田部井さん」。

千の風になって世界各地の山々から私たち女性を、私たち日本人を励ましてくれるに違いない。合掌。

伊勢谷 珠子