圓蔵師匠と川越

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八代目橘家圓蔵師匠が亡くなった。「月の家圓鏡」という名前のほうが親しまれる方だ。

黒ぶち眼鏡と新幹線なみの超高速回転の頭脳と見事な滑舌。高座でのメガネ姿は異色で伝統文化の世界ではいろいろあったのではないだろうか。しかし、それらを一掃するうなぎ昇りの人気。「エバラ焼肉のたれ」。圓鏡さんの声で「焼肉」といえば「エバラ」が定着したかも。黒ぶち眼鏡が曇る「クリンビュー」のCMもなつかしい。

川越市在住の落語家「三遊亭窓里」、小林薫市議会議員(議長経験者)も圓蔵師匠の薫陶を受けた一人。「昭和55年入門以来様々な場面でご指導をいただいた。一言で気遣いの凄い方、努力で築いた人生と思います。私が川越市議会議員選挙に挑戦するときには応援に。小江戸落語会にも出演していただいた。一緒にうなぎを食べた・宮元町のうな吉さん(写真)が思い出の場所となってしまいました。ご冥福をお祈りいたします。」と窓里師匠。

慣れ親しんだ有名人が逝ってしまう。「歳をとるということは回りの知り合いが少なくなることだよ」と先輩から聞いた話が現実となっていく。向こう岸に逝ってしまった人を想い盃を上げることを「献杯」という。先日、自分の夫と川島なお美さんの過去を公言し「あの晩主人と二人乾杯しました」といった松居一代さんには驚いた。しかし、日本語が乱れ、話し手も書き手も「素人化」してしまっている今、致し方なしか?よって、日本の文化、粋な術、上下関係、言葉をあやつる基本、話す技術の凝縮している落語界は大切にしていきたいものだ。

「うな吉」にするか「エバラ焼肉のたれ」にするか、橘家圓蔵師匠に献杯をしたい。

そして23日金曜日は蓮馨寺落語会 圓蔵師匠がお馴染みのスマイルで川越の空に。。

三潟正義