さる年の梅

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梅の香りがまちを流れている。

川越仙波町には白梅が枝がひろげている家、蝋梅がなんとも甘い香りを放つ家が点在している。白梅を見ると心は高校時代に戻り、母が合格祈願に何年も前から湯島天神にお参りをしてくれ、「湯島の白梅、いいわね。風情があって。お母さんこれから毎月月参りをするから、きっと希望の学校にはいれるわ」と言っていた姿が思い出される。そして夏の日差しの中の学校見学、合格発表の時、車窓にひろがる梅の花をみながら母とドキドキしたことが一連の流れでフラッシュバックする。蝋梅の想い出は宝登山に祖母と母と登って、母手作りの巻きずしを食べたこと。かんぴょうの味付けで祖母と母が言い争いをしていたのがなんとものどかだ。

母と祖母は梅干しや梅酒を漬けるため、梅を求めて越生と青梅によくでかけた。リウマチで身体が不自由になった祖母の教えでそれらはすすめられていた。祖母は申年生まれ。「平安時代の天皇が、梅干しで疫病から民を救った。それが申年。だから申年の梅は健康で長生きできる縁起物。」という言い伝えを大変大切にしていた。自分の干支の年の梅干し作りはなおさら念がいっていた気がする。「さる年の梅」は12年に一度しかまわってこない。でも二年前に漬けた梅が「さる年の梅」ではないか?

健康に「さる年の梅」ではなくても「梅干し」を食べよう。