お歳暮考

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日本のよき伝統に盆暮れのご挨拶がある。お盆のお中元、暮れのお歳暮。

御熨斗をつけて、包装し、風呂敷に包みご挨拶に伺うことは遠い昔。今は流通業界の爆発的な発達により、デパートのギフトも産地直送の贈り物も宅配便屋さんが届けてくれる。

百貨店のカタログを見てギフトセンターにおもむき、注文をする。それよりも、家のパソコンで自由自在に選んでクリックして配送というほうが主流かも。

過日、日頃より「人生、生き方、かくあるべし」という粋人の先輩から素敵な贈り物を頂戴した。箱の中に各地の珍味が。中身には先輩の出身地の名産「柚子」が彩りに添えられていた。なんという美的感覚。そして郷土を想う心までが伝わる。そして、珍味には「???」とこちら側の心をくみとるメモがあった。ひと品、ひと品、おいしく戴く手作りレシピが。

「心があるかどうか」。贈り物をするという行為の原点を再認識させられたのである。便利な時代だからこそ、この先輩の心配りには学ぶことが多い。

菅原擁子